「お客様と社員の声が企業を救う」

~内部統制・リスク管理

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カスタマーエクスペリエンスの活用方法

カスタマーエクスペリエンス(顧客体験価値)とは? Customer Experience(以下「CX」といいます)とは、顧客が企業との接触で体験したこと全ての加算的・総合的な主観的評価をいいます。米コロンビア大学ビジネススクールのバーンド・H・シュミット教授が2000年に出版した著書「経験価値マーケティング―消費者が「何か」を感じるプラスαの魅力」の中で、「顧客は商品の機能・利便性に加えて、プラスαの心地よい経験を求めるようになっている」と説いたのです。 ここで重要なのは、お客様が商品を購入するまでのすべてのプロセスでの評価が積み重なって、お客様が最終的にどう感じたか?を問うものであるということです。お客様は、単に商品を買うだけではなく買うという経験をしている、という捉え方をしています。 例えば、通信販売を例にとってみると、ウェブサイトへの満足度が高くても、契約手続きがわかりにくく何度もお客様に手続きに関する問い合わせをさせたり、オンライン購入から電話購入に切り替えさせるなどの手間をかけさせたりするようだと、CXは下がるということです。   カスタマーエクスペリエンスで注意すべき3つのポイント  ・お客様は、どこに価値を感じているのか? CX向上は、スターバックスなどの成功例から、お客様への「おもてなし」強化としてとらえれられている向きがあります。 「おもてなし」つまり、お客様一人一人に対する心のこもったサービスなどとイメージされると、「接客」が重点ポイントとなり、接客教育に力を入れることが多くなります。これは、CXの一つの側面にすぎません。CXは、加算的総合的な主観的評価です。主観的ということは、お客様が何に価値を感じているかをまず把握する必要があります。   ・お客様の購買活動全体を評価するカスタマーエクスペリエンス 実は、お客様の不満は、個々の部署ではなく部署と部署のつなぎの部分で起きているものがおおいのです。よくあるアンケート調査で、 「各部署での対応はいかがでしたか?」 というものがあります。このようなアンケートでは、以下「ウェブサイト」または「店頭」・「商品」「配送」・「サポート」などの各部署に対して評価をするようになっています。そしてアンケートを分析し、それをもとに担当部署に改善を指示するという取り組みが大半でしょう。 しかし、各部署の連携については、評価を下すことができません。ですから、各部署での評価は高くても最終的な評価は低いということが起こるのです。みなさんも部署や担当者がかわるごとに、一から説明をして面倒だと思った経験がありませんか? 「担当部署」という企業視点ではなく、「購買活動」という消費者視点での一連の動きを評価する指標、それがカスタマーエクスペリエンスなのです。   ・お客様の期待を上回る水準を目指すカスタマーエクスペリエンス アンケート調査を行うと、お客様の不満(評価が低いポイント)がわかります。こうして、そこに課題を発見し、解消するための方法を考えるというのが、これまでの業務改善でした。つまり、お客様が問題を感じないレベルを100として、それを目指すことです。しかし、他の企業も同様の方法をとれば、差別化は測れません。これに対し、CX向上活動は、「お客様の期待を上回る水準」を目指し、競合他社との差別化を測ることまでを目的としています。   カスタマーエクスペリエンスを高めるにはどうすればよいのか ・お客様は、どこに価値を感じているのかを明確にする これは、失敗例をあげたほうがよくお分かりかと思います。業績低迷で「ペプシに勝てる味」を模索していた米コカ・コーラ社は、市場テストを繰り返し、1985年に『ニューコーク』を発売しました。しかし、飲み慣れた味を突然奪い去られたファンは激怒。抗議が殺到し不買運動まで起きたため、同社は以前のコークを復活させました。顧客にとっては、飲み慣れたコークの味が大切だったのですね。 企業が、お客様が欲しいだろうと思い開発・提供するものと、お客様が欲しいものとは必ずしも一致しません。これをできるかぎり近づけていくために、まずお客様の価値基準を知ることです。   ・お客様の購買活動の流れに沿って、企業全体として把握する 「接客をしてくれた店員さんの言っていた内容と発送カウンターでの内容がちがっていて、結果的に送料がかかった」というお客様の不満。企業側にしてみれば、他の対応部署の細かい内容までは把握できないと言いたいところでしょうが、お客様からしてみればひとつの企業ですから、他部署のこともある程度把握することは必要でしょう。そこでは、企業の部署を超えた、お客様の購買活動が基準になります。   ・お客様の期待を上回る水準を目指す 扱っている商品は同じなのに、なぜ選ばれる企業と選ばれない企業とがあるのでしょうか。顧客体験は商品機能を上回ります。お客様が何に価値を見出し、それを上回る水準を目指すためにはどうすればよいのか、競合他社の状況も分析しながら、他者にないものを加味することが必要です。   カスタマーエクスペリエンスの3つの成功例  ・スターバックス スターバックスでは、お客様を迎える店舗を家庭(ファーストプレイス)や職場(セカンドプレイス)ではない第三の場所「サードプレイス」と位置付けています。そのサードプレイスで極上のコーヒーに加え、スタッフからの気遣いや、心地よいコーヒーの香りと流れている音楽、ゆったりとした空間が生み出す居心地の良さなどを総合し「スターバックス体験」と呼んでいます。スターバックスがお客様に提供するのはコーヒーという商品だけでなく、その「スターバックス体験」であるという考え、これこそが、CX代表例としてよく挙げられる理由です。   ・アマゾン アマゾンで取り扱っている商品は、どれも他の企業でも扱っているものです。しかし、ウェブサイトのわかりやすさ、簡単な1-Click注文の導入、配送のシステム、そして閲覧履歴などを削除できるなどの顧客視点が徹底しています。   ・無印良品 無印良品では、「遅得」といって、繁忙期に配達が遅くなることに同意したお客様に対して、価格が10パーセントオフになる割引キャンペーンを不定期に行います。これは、お客様が決して一律のサービスを望んでいないことの表れですね。

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中小企業やベンチャー企業が着目すべきリスクとは

リスク管理に関わる最近の話題 近年、企業として収益のみを得るのではなく、企業が存在する社会に対して十分な社会的責任 Corporate Social Responsibility (略してCSR)や 説明責任 accountability を果たさなくては存在すら危ぶまれることになるという危機感を背景として、リスク管理の重要性が増しています。 最近では、東芝の巨額損失問題が記憶に新しいところです。東芝では、不正会計問題で旧経営陣が一斉退陣しました。しかし、新たにスタートした新経営陣により、またしてもずさんな危機管理が露呈しました。東芝の米国原子力子会社のウエスチングハウスが、建設会社のCB&Iストーン&ウェブスターを2015年12月31日に買収したことに始まり、ウエスチングハウスが、ストーン&ウェブスターの締結した原発建設のオプション契約による7000億円もの巨額損失のリスクを認識したのは、2016年10月。 ところが、これを東芝の本社経営陣が知ったのは、なんと2ヶ月後の12月、そして2回にわたる延長の後4月11日には監査法人の監査意見「不表明」のまま提出に踏み切り、2016年第三四半期の決算を発表しました。 また、直木賞受賞作品で、ドラマ化され大ヒットした『下町ロケット』では、特許権侵害の係争が盛り込まれていましたね。主人公が経営する佃製作所は、大企業であるナカシマ工業に、特許権侵害を理由とした販売差し止めと90億円の損害賠償を求められるという危機に陥ります。また資金繰りが苦しくなる中で並行して、帝国重工との特許権交渉を進めていくという、大変困難な状況に陥る樣が描かれていました。 法務リスクとは? 上記のような、法令等や各種取引上の契約等において、遵守違反や契約違反、その他それに伴う罰則適用や損害賠償などの損失により被るリスクを、法務リスクといいます。コンプライアンス(法令遵守)という言葉で代表されるように、世間的に法務規制に対する認識が高まりつつあることから、そのリスクは益々増大していると言えるでしょう。 そして、いったん法務リスクが顕在化して、先の佃製作所のような危機的状況になると、経営者は事業に専念できなくなってしまい、また資金繰りもショートしてしまうという事態が起こりうるわけです。 ・「法務デューデリジェンス」 こうした法務リスクを軽減させるには、内部監査や外部第3者による定期的なチェック作業が必要です。そこで、法務デューデリジェンスの必要性が叫ばれているのです。  デューデリジェンス(デューデリ、DD ,以下「法務DD」といいます)とは、企業が 買収等(M&A)を行う場合に、買収をする企業が、対象企業の実態を調査することをいいます。デューデリジェンス(デューデリ、DDとも呼ばれる)、では対象会社の法務、財務、税務、ビジネス、環境、人事、情報システムなどを調査するのですが、このうち法務に対する調査を法務DDといいます。 近年では、M&Aの売り手側が取引に先立って、事業や資産などの売却対象に潜在する問題点を洗い出すために自ら調査を行う例も増えていて、「Seller’s DD」とも呼ばれています。また、上場(IPO)を控えた会社にとっても必要不可欠なものです。 リスクをビジネスチャンスに変える ・コントロールリスクとテイクリスク もうひとつ、中小やベンチャー企業で考えておきたいのが、リスクは必ずしもマイナス要因ではないということ。「ハイリスク・ハイリターン」という言葉に表されるように、リスクが大きければ大きいほど、得るものも大きい事象もあります。 こういうリスクをテイクリスクといいます。会社にとっては、益不利益にもなりうるリスクでありブランド戦略などのマーケティング活動上のリスクもこの中に分類されます。これに対して、コントロールリスクとは、コンプライアンスなど業務を遂行する上で適切に管理する必要のあるリスクです。 例としてこのケースを取り上げるのは適切ではないかもしれませんが、未払い残業代問題で法務リスクが顕在化した宅急便のヤマト運輸。 しかし、ドライバーの配送の過密スケジュールや取り扱い貨物量の増加、大口顧客であるAmazonの大型段ボール配送問題などを表面に出すことで、今回の値上げもやむなしという状況を作り上げました。 今世間では、宅配便ドライバーの負担を軽減するために消費者も便利さをすてるべきでは?このままでは日本の物流は崩壊するのでは?という雰囲気が醸成されつつあります。ヤマト運輸にとって、コンプライアンス面ではマイナスだった未払い残業代問題をあえて取り上げることで、スムーズに値上げに進むことを可能にしているように感じるのですが、いかがでしょうか?

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お客様は本当に神様なのか

『お客様は神様です」の誤解  「出た!客が偉いパターン!『お客様は神様です』ってお前が言うな!それはお店側が言うんだ。バカ。客が言うなよ。『私は神様だ』って、頭おかしいだろ!」  突然びっくりされたことでしょう。実はこれ、2017年3月期で終了した、『マツコ&有吉の怒り新党』というテレビ番組の3月8日放送回の一コマです。宅配寿司の配達アルバイトをしているという56歳男性の声が取り上げられていたのですが、これに対して番組内で実施された視聴者アンケートに対しての有吉さんのコメントなのです。 この有吉さんのコメントは、サービス業や接客業などに従事されている方にとっては、胸に染みるものがあったらしく、  「『お客様は神様』とか言い始める輩は、大抵お金落とさない疫病神だから、神は神でもさっさと駆逐した方がいいんだよな」  などという声が、SNSに寄せられていました。 この言葉は元々、歌手の三波春夫さんがオーディエンス(聴衆)に向けて言ったことなのですが、いつの間にか三波さんの真意を離れて、「飲食店」や「商店」のお客さんにも使われるようになっていきました。三波さんのホームページを管理している長女の美夕紀さんが、以下のように書いてあります。 三波春夫といえば『お客様は神様です』というフレーズがすぐに思い浮かぶ方が少なくないようです。印象強くご記憶頂いていることを有り難く存じます。 ですが、このフレーズについては、三波本人の真意とは違う意味に捉えられたり使われたりしていることが多くございますので、ここにちょっとお伝えさせて頂きます。 三波春夫にとっての「お客様」とは、聴衆・オーディエンスのことです。客席にいらっしゃるお客様とステージに立つ演者、という形の中から生まれたフレーズなのです。三波が言う「お客様」は、商店や飲食店などのお客様のことではないのですし、また、営業先のクライアントのことでもありません。 しかし、このフレーズが真意と離れて使われる時には、例えば買い物客が「お金を払う客なんだからもっと丁寧にしなさいよ。お客様は神様でしょ?」と、いう風になるようです。そして、店員さんは「お客様は神様です、って言うからって、お客は何をしたって良いっていうんですか?」という具合。俗に言う“クレーマー”には恰好の言いわけ、言い分になってしまっているようです。 このフレーズへの誤解は三波春夫の生前から有り、本来の意味するところについてを、本人がインタビュー取材の折などに尋ねられることも多くあり、その折は次のように話しておりました。 『歌う時に私は、あたかも神前で祈るときのように、雑念を払って澄み切った心にならなければ完璧な藝をお見せすることはできないと思っております。ですから、お客様を神様とみて、歌を唄うのです。また、演者にとってお客様を歓ばせるということは絶対条件です。だからお客様は絶対者、神様なのです』 三波春夫オフィシャルサイト 「お客様は神様です」について http://www.minamiharuo.jp/profile/index2.html 対等の関係  三波さんは、神に奉仕するような澄み切った心でと言っていますが、「客席にいらっしゃるお客様とステージに立つ演者」というのは、お金を払ってきてくれたお客様に対して歓んでいただけるようなサービス(三波さんにとっては歌うこと)を提供するというものです。サービスを提供する側は、お金を出してくれた方へ対価に見合うだけの価値を見いださせるということですね。 そこには、対等の関係しかありません。サービスを提供する側は、お客様の奴隷ではないのです。 お客様にはどう接するべきか? ・ホスピタリティ(おもてなし) 近年、小売・サービス業の世界では、ホスピタリティという言葉が用いられるようになりました。サービスは格下の者が格上の者に対して行う義務としての奉仕、これに対して、ホスピタリティは対等の立場で行う心からのおもてなし、というものです。 この言葉、特にホテル業界で多く使われており、リッツ・カールトンホテルなどはその代表格です。「おもてなし」に必須の「相手の気持ちに立って考える」「自分のものさしを捨てること」が必要と説くコンシェルジェ、ただ、夜食にしか出ない「きつねうどんを朝食べたい」というお客様に対して、このお客様は「私にお金を使わせてください」とメッセージを送っているのだと考える境地に至るのは、一般人にはなかなか難しいかもしれませんね。 ・商品・サービスは金銭の対価に見合ったもの しかし、あくまでもお客様と商品・サービスを提供する側とは、対等の関係だということは間違いありません。ですから、百貨店で多くの商品を購入するお客様には、外商があるのもその好例でしょう。たくさん買っていただくからこそ、存在するサービスです。サービスは無料ではありません。すべての商品・サービスには、損益分析に基づいた適正価格があるのです。 ・長期的な視点を持つ 顧客第一主義を取り違えると、例えば100均ショップで、客の求めに応じて無料(といってもそこには袋やリボンなどの原価と人件費はかかっているので、むしろマイナス)でラッピングサービスをするようなことになります。一人のお客様にそれを行うと、他のお客様の求めにも応じざるを得ません。それは瞬く間にサービスとして定着せざるを得なくなり、結局自社の経営を圧迫し、お店を閉めるという結果に繋がり、そのお店を利用していたお客様に不利益を生じさせることになってしまうかもしれないのです。 何をもって対等と考えるかは難しいですが、サービスの質が価格によって変わるのは、ある意味当たり前ともいえるのではないでしょうか。それが、企業にとって必要な利益を確保し、常に同質のサービスを提供できることにつながるのですから。 顧客第一主義とは、お客様の無理難題を聞くことではない お客様の要望を満たすことは、サービスを提供する側として大切なことですが、理不尽なクレームや要求に対しては、企業側は毅然とした対応をとることが望まれます。それが、結果的に大多数のお客様を大切にすることに、また、社員を守ることにも繋がります。

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リスク管理で最も重要なこと

リスクとリスク管理(リスクマネジメント) リスクとは「これから起きることが予測される危機・脅威」という意味で、リスク管理(リスクマネジメント)とは、「予測できる危機に対する事前対策」を行うことです。 似たような言葉に「危機管理」がありますが、「危機管理」は「実際に起きた危機への対処」であるのに対し、「リスク管理」は「これから起きる危機への対策」という違いがあります。 2001年3月に経済産業省がJIS規格「リスクマネジメントシステム構築のための指針」を発表したことがきっかけで、日本で「リスク管理」という概念が認識されはじめました。 それまでの日本は「危機管理」にしか関心が当てられていませんでした。しかし、1997年の阪神・淡路大震災で安全神話が崩壊し、それを契機に「リスク」という概念が社会に広まっていきました。 阪神・淡路大震災では2割もの会社がなくなりました。地震で会社が潰れる、このようなことを想定していた企業は、少なかったと思います。しかし震災はこの現実を否応無しに突きつけました。加えて、ITテクノロジーの発達やグローバル化が進む中であらゆる分野において急激な変化が起きている今、自社のリスクを把握し、回避するためのリスク管理の重要性が増しています。 リスク管理のプロセス リスク管理のプロセスは以下の2つに分けられます。 リスクを把握する 把握したリスクに対策を講じる ・リスクを把握する リスク管理で最初にすることは、どんなリスクが考えられるかを把握することです。ここで重要なことは、リスクをもれなく洗い出すこと。リスクは「時系列」に、「MECE:Mutually Exclusive Collectively Exhaustive(日本語に直訳すると「それぞれが重複することなく(ME)、全体としてはモレがない(CE)」つまり「ダブりなくモレなく」という意味のロジカルシンキングの考え方です)」で分けてとらえると、ぬけやもれを防ぐことができます。 リスクをもれなく把握したら、次に「発生率」と「影響度」の2軸でリスクを評価していきます。こうしてリスクの評価が定まることで、リスク対策の優先順位が決まります。 ・把握したリスクに対策をする 洗い出したリスクを評価したら、リスクの影響を回避・軽減するための対策をしましょう。リスク対策には「予防・軽減・移転・容認」の4種類があります。リスクの発生率・影響力の大きさによっては複数のパターンを組み合わせてリスク対策をするのも有効です。 こうして、リスクを把握して発生率・影響力から対策をすれば、まずは第一段階終了です。人間は予測外の状態には弱いですが、予測された事態には強さを発揮します。 しかし、このままで放っておいてはいけません。次の、想定したリスクを監視する段階に入ります。リスクが顕在化していないかどうか?していれば、起こってしまったことですから「危機管理」の段階に移ります。また、リスクは増える一方ではなく、発生の可能性がなくなる場合もあります。このようなリスクを放置しておくことは、徒らに管理コストを増やすだけですので、監視対象から外すようにしましょう。 ・「リスク対策ができていない」という課題 「リスク」とは、まだ起きていないが、起こったら解決が必要なものをいいます。これに対して策を講じていないことは、すでに起きていて解決が必要な「課題」を放置しておくことです。「リスク」がない企業はありません。早急にリスク対策を行いましょう。 IT時代のリスク管理 災害や金融リスクなどを除き、今もっとも備えなければならないのが、ITリスクです。ホームページやSNSを運営するうえで想定されるリスクは把握できていますか?情報漏えいや炎上など、なんとなく想像はできるものの、明確に認識し対策案も万全という企業はあまり多くありません。また、店頭でのちょっとしたトラブルも、お客様によってSNSに書き込まれれば一瞬のうちに広まります。 通販サイトやSNSなど、ユーザーとの接点となる部分の担当者や、IT部門管理者は、どのようなトラブルがおきても冷静に対処できるような体制を整えておかなければ、CS(顧客満足度)や信頼性の低下を招いてしまいます。 ・ベネッセ個人情報流出事件 2014年6月には、通信教育大手企業ベネッセコーポレーションの個人情報流出事件がありました。最大3504万件もの個人情報が流出し、2015年7月31日 ベネッセは事件の影響で、1年間で94万人の会員が流出したと発表しています。ピーク時には420万人だった会員数は、事件の影響で2015年4月には271万人と35%減少、さらに2016年4月には243万人と減少の一途をたどり、赤字幅が拡大しています。さらに同社は顧客への謝罪として200億円の原資を準備し、謝罪の物品や受講費の減額を行うなど、経営に多大な影響を与えています。 この事件では、ベネッセ側が機密保持対策は行なっていたものの、データを扱っていたのは派遣社員でした。会員保護者のなかには、ベネッセ側の顧客データを扱わせることに対する認識が甘いという人もいました。リスク管理の甘さを指摘されているといえるでしょう。 ・ブロンコビリー足立梅島店閉店事件 2013年8月5日、東京都のブロンコビリー足立梅島店のアルバイト従業員が、「ばいとなう」とつぶやき、キッチンの大型冷蔵庫に寝そべった写真を投稿したことから、たちまちツイッター上で炎上。翌6日には店舗が休業して消毒、再会を予定したものの12日には閉店が決定、さらに店側は悪ふざけをしたアルバイト従業員を解雇して損害賠償請求を検討するという事件が起こりました。 本人が投稿してから特定されるまでわずか1時間というから驚きです。 この当時は、このような投稿写真による炎上騒ぎが相次ぎ、アルバイト教育や若者のSNS利用のモラルについて社会的反響が大きくなっていた時期でした。このようなリスクに対して、会社側がどれだけリスク管理をしていたかも問われています。

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経営陣と現場が抱える課題の共感度を高めるには

経営陣と現場との意識の壁 業種・規模の大小に関わらず、経営者というのは大変です。昨今の経営の迅速化、現場でのスピーディーな判断を要することなどから、権限移譲が主流となっていますが、だからといって企業のトップが知らなかったで済むわけではありません。権限移譲をした部下が何をやろうとすべての責任がその部下に課せられるわけではなく、依然としてトップは責任の一旦を担っているのです。  一方、現場は現場で常にジレンマを抱えています。権限は移譲されたものの、今の成熟した市場では、ものが思うようには売れず、かといって責任の一旦はトップにあるから、それを無視して自分の権限ですすめることもできない。「自分はやっているのに、トップはそれを理解してくれない」「取引先との交渉について、無茶を言ってくる」などの愚痴もちらほらと聞こえてきそうですね。 このような両者の意識の壁は、どのようにしたら取り払うことができるでしょう。 壁を取り払う4つのポイント 組織を変える必要があるという共通認識を持つこと 経営陣には経営陣なりの、現場には現場なりの言い分があります。人は衝突を避けようとするのが常ですから、これらの調整をして、落としどころをみつけようとします。が、それはお客様を無視した、会社にとっての妥協案にすぎません。ここで大切なのは、会社にとっての目的は何か、それを実行するためには何が最善か、ということです。 そして、今までのやり方ではだめなのだ、新しい方向性を見出す必要があるのだということをお互いに認識することが必要となってくるのです。  場合によっては経営者の独断で有無を言わせず変えていくこともあるでしょう。ただ、こういうワンマン的な手法では、現場に不満を生じさせます。ですから、可能な限りはその必要性を現場や経営陣に説いて、双方納得のうえでやり方を変えていく方がうまくいきます。共通認識が得られないという場合は、本当に新しい方向性を見出す必要性があるかどうかの検討が充分でない、コミュニケーションがとれていないと言うこともできます。 すべての社員がCS(顧客満足度)を理解し、行動変容を促されるような共通認識を持つことが重要です。 強力な意思決定の仕組みを作り上げること 経営陣と現場に限らず、会社という組織には個人間・部門間と何がしかのしがらみがあります。これらの利害は決して一致することはありません。ですから、これらのしがらみを切ってでも、CSを第一とした強力な意思決定の仕組みが必要になります。これは、自然には出来上がりません。会社のトップが意図的に権限を与えなければできないことです。 この成功例がユニヴァーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)です。 USJは、マーケティング責任者が、テーマパークのエンターティメントに最終責任を持つという横断的仕組みに組織変更をしました。そして、2015年10月には東京ディズニーリゾート(TDR)を超えて、日本一のテーマパークへとなりました。その経緯は『USJを劇的に変えた、たった1つの考え方』(森岡毅:著.角川書店.2016)に詳細に書かれています。 相手に伝わる言葉で話すこと コミュニケーションの大切さはわかっていても、相手に合わせた言葉でなければ伝わるものも伝わりません。北海道のリサイクルショップ企業じゅんかんシステムの中西社長は、インターネットによるコミュニケーションを利用して、毎日社員向けにメールを送り続けました。その内容は具体的で、中にはバックヤードを訪れた時の様子とその対応を褒めているものもあります。 このように、経営陣から現場へ伝えるときには、抽象論でなく、現場の活動に直結する言葉でやるべきことを伝えなければなりません。この逆に、現場から経営陣に意見をあげるときは、現場レベルだけの内容を伝えるのではなく、それが会社にとってどのようなメリットをもたらすのかといった、大局的な視点から伝えることが必要となってきます。 課題や対策法を各自の行動レベルに落としこむこと 現場の意識が最も変わるのが、組織のものとして検討してきた課題や対策法を各個人のものとして落としていく瞬間です。それまで他人事のように意見してきた人たちの真剣度が変わり、このタイミングを機に、一気に目的に向かって走り出します。これには、経営陣や組織長が、相手に伝わる言葉で話すことが前提であることは言うまでもないでしょう。 マネジメントとは? ドラッガーは、マネジメント論のなかで、すべての組織を社会の機関として位置づけました。そして、組織が社会の機関である以上、社会やコミュニティ、個人のニーズを満たすために存在しなければならないと指摘しています。 企業にとって社会やコミュニティ・個人は、顧客とひとくくりに表現することができるでしょう。したがって、企業は顧客のニーズを満たし続けなければなりません。これこそが、マーケティングでいうところのCS(顧客満足度)です。 現在では、マネジメント論やマーケティング論は、別個に語られることが多くなっていますが、これらは相互に補完しあうものです。CSを第一の目的として、現場を目覚めさせるマネジメントこそ重要な手法であるといえるでしょう。

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社員の声の活用方法

 社員の声を活用することの意味は? 第2回で、「お客様の声」を集めるには現場応対をしている「社員の声」を集めることが大切、とお伝えしました。この社員の声を活用して、 会社として何に取り組んでいけば良いのでしょうか。 ・CS(Customer Satisfaction 「顧客満足度」)を高めること CSとは、お客様がどのぐらいそのお店の商品や接客サービスに満足しているかという顧客満足度をいい、CSが高ければ高いほど、お客様はまた足を運んでくださいます。いわゆるリピーターです。 リピータのなかでも顧客ロイヤリティ(忠誠心)の高いお客様は、会社に利益をもたらします。なぜなら、こういうお客様は黙っていても自分のお気に入りの商品やサービスを宣伝してくれるからです。口コミは無料の宣伝。しかも企業側が商品アピールをする広告と異なり、客観的評価と受けとられるので、強力な販売促進効果があります。 ・ES(employee Satisfaction 「従業員満足度」)なくしてCSなし ESとは、社員がどのぐらい自分の仕事にやりがいをもち、充実を感じているかという従業員満足度をいいます。組織が従業員を大事にすれば、従業員は顧客によいサービスを提供するという考え方を、「サービス・プロフィット・チェーン」といい、CSとESは車の両輪にも例えられます。 人には必ず承認欲求があり、お客様のために働くことで認められるのを願っています。しかし、実際には社員が一丸となってお客様のために一致団結するというのは難しいことです。 なぜなら会社というたくさんの人が集まっている集団の中では、個人だけでなく部署ごとにも思惑があり、会社の利害と個人の利害とが必ずしも一致しないからです。ある人が自分はお客様のために動いたと思っていても、それを非難する人が出てくる、そんなケースは多くあります。 ここで重要なのが、社員がどのように考え行動しているかを如実に表している社員の声です。日頃、社員がその会社に対してどのような思いを抱いているのか、それを分析して社員の仕事満足度を高めるために活かす、これが社員の声の活用方法です。   社員の声の活用例 社員の声を分析すると、社員が仕事に求めていること、不満に感じていることなどが現れてきます。 「休みが取れず、いつも疲れている」 「お客様第一主義はわかるけど、他部署のことまでは対応できない」 「お客様に喜んでもらえると、モチベーションが上がる」 などです。これらをもとに、 ・従来から推進している自社の取り組みを再度見直し、繁忙感により疲弊し「行っているつもり」になっている日常業務の見直しを行なった企業 ・顧客満足度を高めるためには、現場だけが「掛け声」をかけても真のCS向上には繋がらないことに気づき、組織のしくみをどのように改革していくのかを検討し、現場でのコミュニケーション力向上にも取り組んだ企業 ・アンケートによって表出した諸問題について、コミュニケーションの大切さを理解し、社員同士がお互いを認め、相互に議論しあえる風土を築いていくかという風土改革のきっかけとした企業 などの取り組み例があります。   最終目的は、人材教育に活かすこと 社員の声は、「人材教育」に活かすことが最終目的です。人材を育成する職場の「風土」や「文化」をいかにつくりあげるかということです。文化を作り上げることは大変な苦労を伴いますが、一度根付いた風土は、責任者やリーダーが異動でいなくなっても、簡単に消えるものではありません。すべての社員がCSを理解し行動変容を促されるような企業文化を作り上げることが最終目的といえるでしょう。

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経営者がもつべきアイテム

ビジネス・モデルと経営戦略、個別戦略 ビジネス・モデルとは、企業が収益を上げ、継続的に成長するための仕組みです。 経営戦略は、ビジネス・モデルを成立させ、経営目標を達成するための統一性を持った施策の集合体です。経営目標からは、「収益の最大化」「時価総額の最大化」など、企業として最終的に何を求めるのかという価値観が示されます。そして、経営目標を特定の期間で達成するには、ビジネス・モデルをうまく回さなくてはなりません。 「ヒト、モノ、カネ」に加えて「情報」といった経営資源を最大限に活用し、目標達成に向かってすべての企業活動が連携するように、個別戦略が立てられます。 企業活動は、製品やサービスを作り顧客に届けるための機能(研究・開発・資材・生産・物流・販売・サービスなど)と、円滑な活動を支援するための機能(財務・人事・組織など)に分かれます。 個別戦略は、各部門で達成すべき課題や計画にブレイクダウンされて展開していきます。 アイテム1・・・マーケティング戦略 現在のような成熟市場においては、自分にとって価値のあるものにしかお金を使わなくなっています。従来の日本企業は、「作ったものを売る仕組み」を作り上げてきました。それを「顧客の望むものを提供する仕組み」へ転換するには、マーケティング戦略が必要になります。 アイテム2・・・お客様の声=リスク管理 リスクとは、企業経営の損益や収益に影響を及ぼす不確実性と定義づけられます。そして、リスク管理とは、企業活動の収益を最大化しつつ、損益の影響を最小限に抑えて、企業価値を高めていく活動と定義づけます。 企業は売り上げを上げることだけに目がいきがちですが、複雑化する事業リスクから会社を守るリスク管理は、「100万円の利益を出すこと=100万円の損失を未然に防ぐこと」でもあるのです。 リスク管理の重要性を認識して、事務ミスやお客様の声を電子ワークフローによって簡単に報告できる環境を整え、件数や報告の質・スピードを向上させた企業があります。リスク事象の要因分析や顧客の声の傾向分析など、業務や商品・サービスの改善につなげる集計・分析も可能になり、リスク管理と顧客満足度の向上を実践しています。 アイテム3・・・社員の声=内部統制 内部統制とは、基本的に、業務の有効性や効率性・財務報告の信頼性・法令遵守・資産の保全を高めるために、業務に組み込まれ、組織内のすべての者によって遂行されるプロセスをいい、統制環境・リスクの評価と対応・統制活動・情報と伝達・モニタリング(監視活動) ・IT(情報技術)の利用といった基本的要素から構成されています。 上場企業においては、財務報告の適正性を確保するために必要な内部統制の仕組みが有効に機能しているかどうかを、経営者が自ら評価し、その結果を内部統制報告書として報告しなければなりません。これは、事業年度ごとに経営者が作成し、公認会計士または監査法人が監査します。 つまり、内部統制は、企業風土・経営の質と言い換えることもできるでしょう。社員に対するアンケートによって表出した諸問題について、コミュニケーションの大切さを理解し、社員同士がお互いを認め、相互に議論しあえる風土を築いていくかという風土改革のきっかけとした企業があります。 企業の経営者には、経営の透明性と信頼性を高める社会的責任が生じてきている昨今、社員の声が内部統制の表れとして、またある時は内部告発として有効なものとなります。 お客様と社員の声が企業を救う 現在の成熟した市場においては、「顧客の望むものを提供する仕組み」へ転換するために、マーケティング戦略が必須です。この両輪となるのが、お客様の声と社員の声です。これらをリスク管理と内部統制を行うことにより、新しい企業風土・企業文化を作り上げていくことになります。 男性の経営者がもつべきアイテム(モノ)として 財布は革財布を使うべきであろう https://simple-wallet.net/

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お客様の声の活用方法

活用することの意味は? お客様の声を活用した先にあるものは何でしょうか?それは、お客様をリピーターにすることです。リピーターつまり既存顧客の中でもロイヤリティ(忠誠心)の高いお客様で、企業や商品のファンになったお客様に対して販売することは、以下のようなメリットがあります。 ・既存顧客は、新規顧客よりも儲かる 新規のお客様にお店に来てもらうようにするためには、広告でまずお店のことを知ってもらわなくてはなりません。このための費用がかかります。つまり同じ商品を販売しても新規のお客様にきてもらうためには広告宣伝費や販売促進費がかかっており、その分だけ利益が少なくなっているのです。 ・既存顧客は、新規顧客よりも高価格の設定が可能になる。 いったんその商品を気に入ったお客様は、少々価格が高くなっても馴染みの商品を使おうとする傾向が強いです。 ・既存顧客は口コミ効果が期待できる 満足度が高く、ロイヤリティの高いお客様は、自分が気に入っている商品やサービスを積極的に他の人に語ります。いわゆる口コミですね。このクチコミは無料の宣伝ツールですから、コストはかからずその分だけ利益は大きくなります。 つまり、お客様に満足を提供することができれば、ロイヤリティの高いお客様が増え、その会社はますます利益を上げることができるというわけです。お客様の声を活用する目的は、ロイヤリティの高いお客様を獲得するためです。   顧客のニーズを知ること ・きめ細かな対応がお客様対応が可能になる 現在のような成熟市場では、顧客のニーズが多様化して、すべての人に満足できる商品・サービスは生まれにくくなっています。しかし、個々のお客様のニーズがなくなったわけではありません。そして、全てのお客様がバラバラというわけでもありませんよね。そこで、似たような志向や嗜好を持つ人々をまとめて分割していくのです。例えば、車ならば スピードやかっこよさを求めるグループ 安全性を求めるグループ 小回りのきく乗りやすさやオシャレさを求めるグループ などがあげられます。そして、こうしたグループはどのような人々によって構成されているかということを、性別や年齢、収入額によって決めていくのです。例えば、若い人で男性ならば、スピードやかっこよさ、女性ならば、乗りやすさなどです。こうした作業を市場のセグエンテーション(細分化・分割)といいます。 そして、企業はこのセグメンテーションにしたがって、新入社員や若者にはスピードやかっこよさを重視した、スポーツタイプのような車を集中的に売っていきます。このようにして、お客様の多様なニーズに応えることが可能となります。 ・限られた経営資源を有効に使うことが可能になる 顧客ニーズを知ることは、お客様にとってだけメリットになるのではありません。企業の持つヒト・モノ・カネといった経営資源は有限です。この限りある経営資源を有効に活用するには、ある程度集中したほうが経営資源を有効に活用できるため、企業は市場セグメンテーションをセグメンテーションして、特定のセグメントに経営資源を集中的に投下するのです。   特定のセグメンテーション内での位置付けを知ること セグメンテーションができたら、ポジショニングを行います。ポジショニングとは「位置付け」といって、特定のセグメンテーションの中で、自社商品と競合商品との違いを分析してどう差別化をはかるかを 二次元のマップに示したものです。下の図をみてください。男性(ビジネスマン)向けモバイルPCの購買決定要因を軸にして“当社”と競合他社を比較してみると、“当社”商品は、B社・C社とは明確に差別化ができていますが、A社とはあまり差別化ができていないということになります。これらの状況を改善するためには、プラスαの要素が必要です。 一方、女性向けとなると、購買決定要因が異なるため“当社”商品は競合他社との差別化がなされており、この層では優位に立っていることがわかります。   マーケティング理論を使って、お客様の声を分析していく お客様の声にはさまざまな効用があります。第1回で述べたように、直接的には売上アップにつながります。しかし、それが最も生かされるのは、マーケティング理論による分析結果です。 市場のセグメンテーションとは、どの層のお客様をターゲットにするかを決定すること、そしてポジショニング分析はそのターゲット市場で、競合他社といかに差別化を図るかを分析する理論です。これらを活用して、リピーターとなるお客様を掴んでいきましょう。

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社員の声をどのようにヒアリングすることが理想か

なぜ、社員の声を集めるのか? 前回、「お客様の声」を集めるには現場応対が大切、とお伝えしました。お客様と毎日接する社員は、お客様の頭の中にある「お客様の声」を引き出すことができるからです。では、「社員の声」はなんのために必要なのでしょうか?   CS(Customer Satisfaction 「顧客満足度」)とは? それにはまず、Customer Satisfaction (以下「CS」といいます)理論についてお話しする必要があります。CSとは、お客様がどのぐらいそのお店の商品や接客サービスに満足しているかという顧客満足度をいい、CSが高ければ高いほど、お客様はまた足を運んでくださいます。いわゆるリピーターです。   高いCSは、会社にどんな利益をもたらすのか? 企業にとって、新規顧客より既存顧客(リピーター)の方が広告等販売促進のための費用が少なく、多くの利益を生みます。口コミ効果も期待できます。口コミは無料の宣伝。しかも企業側が商品アピールをする広告と異なり、客観的評価と受けとられるので、強力な販売促進効果があります。 しかし、「接客サービスが悪い」といったんお客様が感じると、もうその店に足を運ぶことはないでしょう。これは大きな損失です。 では、このCSを高めるにはどうすればよいのでしょうか。単純に考えれば、現場で接する社員がお客様の声に耳を傾けて行動すればよいのですよね。たとえ商品に対する不満であっても、それに耳を傾けることは、お客様に「自分の不満点や要望点を聞き取ってくれた」という満足度を生むでしょう。では社員がそのように行動するためにはどうすればよいのでしょうか。   「サービス・プロフィット・チェーン」 1994年に、ハーバード・ビジネススクールのサッサー教授をはじめとするサービス・マネジメントのチームは、「サービス・プロフィット・チェーン」に関する論文を発表しました。この基本的な考え方は、組織が従業員を大事にすれば、従業員は顧客によいサービスを提供するというものです。具体的には、お客様の購買意欲が増し、企業の売上げと利益が増え、そこで得られた財源を元に、企業は社員の仕事に対する満足度と顧客の満足度をさらに高める好循環をもたらすことができるというものでした。 社員の仕事満足度が高いということは、その職場で働くことに満足しているということです。要するに会社が好きということですね。職場=恋人と考えてみてください。恋人の友人に対しては、一生懸命に気を遣い接するでしょう。 また仕事満足度の高い社員は会社をやめません。さらに業務の習熟度を高めるよう努力するので、お客様の声を反映するように努め、お客様のCSをさらに高めるような接客ができるのです。このような業務に精通した社員を失うことは、CSの面でも大きな損失です。   社員の声を集める方法  ・社員の声を吸い上げる仕組みを作る ところで、社員の仕事満足度が高い企業というと、東京ディズニーリゾート(TDR)が頭に思い浮かべる人も多いでしょう。最近では、快進撃を続けている西のユニヴァーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)に押されている感もありますが、リピーター率が非常に高いテーマパークです。 ここでよく語られるのが、スタッフの素晴らしさ。カーディアルキャストといわれるゴミ掃除のアルバイトが、いかに安全に美しく早くゴミをとるという単純作業を極めるか、そして一番お客様に接する機会が多いという自覚を持って案内係をも務めている、ということはよく語られますね。これらキャストたちの育成に関して、『9割がバイトでも最高のスタッフに育つ ディズニーの教え方』(福島文二郎:著. 中経出版.2010年)には 人は自分が扱われたように人を扱うという考えから、導入研修時に先輩キャストが、パークでゲストをお迎えするように後輩を迎える トレーナー制度を導入。熱意のある先輩キャストが教えることで自分に自覚を促し、後輩をマメに「見る」ことにより「自分の存在価値が認められている」と相手に自覚を促す 価値観の共有のために、積極的な情報発信と収集をする など、キャストの声を吸い上げる、後輩→先輩→上司という仕組みを作っていることが書かれています。 ・アンケート 無記名アンケートを用いて仕事満足度を調査するのも一案です。アンケート項目としては、職場をどのぐらい好きか 職場で満足したと感じる時間 周囲の人と比べて自分は仕事が好きな方かどうか などを5〜7段階ぐらいの選択式にするのが適切でしょう。自由記入欄も設けて、どのような理由で感じるのかも書けるようにしておきましょう。   さあ、お客様の声をもっともよく知っている社員の声を集めることができました。次回は実際の活用方法を考えてみましょう。

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お客様の声をどのようにヒアリングすることが理想か

なぜ、お客様の声を集めるのか? 物を買うときに、皆さんは何を判断基準にしますか。生鮮品ならば鮮度、日用品ならば使いやすさ、など人それぞれの判断基準があるでしょう。しかし、日用品例えばシャンプーなどの棚の前で、知人との何気ない会話の中で出てきた使用感などが、ふと思い出されて手にとることはないでしょうか。 実際に物を見て購入する場合でもそうなのですから、通信販売などはなおさらですね。ウェブ上で商品や飲食店などを比較するのに、アマゾン・価格コム・食べログなどのレビューや口コミは、非常に大きな影響力を持っており、それらを参考にすることは当たり前のように行われています。   客観的な評価が売上アップにつながる では、なぜ人はこのように人の意見を参考にしたがるのでしょうか。それは、販売者側の商品アピール=自慢話ととらえており、それだけで判断するのは不安だからです。そのため、口コミ=客観的評価を求めるのです。 そこにはお客様の「損をしたくない」という防御反応が働いています。ですからそこに、お客様の買う気持ちを後押しするような「お客様の声」があれば、売上アップにつながるのです。 分析のためのデータ お客様の声には、たくさんの販売促進のためのヒントが隠されています。どうしてこの商品を購入したのか?どうやってこの商品を知ったのか?他社との違いは何だったのか?これらを分析していけば、顧客層・販売ルートや広告媒体の選択・商品開発のヒントなどが得られます。   お客様の声を集める方法 では、どのようにお客様の声を集めていけばよいのでしょう。一般的には、お店の掲示スペースなどに貼られている「お客様の声」をイメージする人が多いかもしれません。でもあえてこれを一番に挙げたいと思います。それは、 現場での応対 主には対面販売となりますが、通信販売のコールセンターなどもこれにあたります。何といってもお客様と直接対話することができるのです。お客様の頭の中にある「お客様の声」、たとえば、いつも決まった商品をとるお客様には選択の決め手を、迷っているというお客様には現状の商品に関する不満や要望を、会話の中から引き出していくことが重要です。 以下、3つ挙げていきます。 ・アンケート そのお店を利用しての感想等を記入するようになっており、要望欄に記入があったものは回答が記入されてお店の入り口や掲示スペースなどに貼られている。まっさきにイメージされるのがこれではないでしょうか。このほか、特定の商品に関するアンケートなども行われています。 ・お客様センター お客様センター=クレーム対応と思ってしまいがちですが、ここもお客様と直接対話することができる場です。お客様の真の不満・要望を会話の中から引き出していくことが重要です。 ・ウェブ上の口コミ 自社商品がどのように評価されているか、レビューサイト等でチェックしてみましょう。また、個人のブログなどに取り上げられている場合もありますので、店舗名や商品名で検索をかけてみるのも一つの方法です。   どのようにお客様の「いい声」を集めるのか? 売上アップや分析に必要な「お客様の声」、その全てを分析→改善につなげるとはいっても、まずは直接売上アップにつながる「いい声」が欲しいですね。 ・アンケート項目の見直し そのためには、アンケート項目の見直しを行いましょう。ポイントはただひとつ、お客さまの「いい声」をいただけるような、そういうアンケートにすることです。 「多くの商品の中から、この商品をお選びいただいた理由をお聞かせください」 「このお店を利用して、嬉しかったことをお知らせください。」 そうすれば、それをそのまま貼り出せます。これらのメッセージは、従業員のモチベーションアップにもつながるでしょう。「いい声」ばかりだと、分析ができないのではないかと思われるかもしれませんが、「いい声」の中にも必ず要望や以前までの不満等は含まれています。これらを丁寧に拾い上げていくことで分析は可能です。   次回は、「お客様の声」を活かすために必要な、「従業員の声」についてです。