「お客様と社員の声が企業を救う」

~内部統制・リスク管理

「 お客様は本当に神様なのか 」 一覧

YOTA93_syazaisuru15124217_TP_V

お客様は本当に神様なのか

『お客様は神様です」の誤解  「出た!客が偉いパターン!『お客様は神様です』ってお前が言うな!それはお店側が言うんだ。バカ。客が言うなよ。『私は神様だ』って、頭おかしいだろ!」  突然びっくりされたことでしょう。実はこれ、2017年3月期で終了した、『マツコ&有吉の怒り新党』というテレビ番組の3月8日放送回の一コマです。宅配寿司の配達アルバイトをしているという56歳男性の声が取り上げられていたのですが、これに対して番組内で実施された視聴者アンケートに対しての有吉さんのコメントなのです。 この有吉さんのコメントは、サービス業や接客業などに従事されている方にとっては、胸に染みるものがあったらしく、  「『お客様は神様』とか言い始める輩は、大抵お金落とさない疫病神だから、神は神でもさっさと駆逐した方がいいんだよな」  などという声が、SNSに寄せられていました。 この言葉は元々、歌手の三波春夫さんがオーディエンス(聴衆)に向けて言ったことなのですが、いつの間にか三波さんの真意を離れて、「飲食店」や「商店」のお客さんにも使われるようになっていきました。三波さんのホームページを管理している長女の美夕紀さんが、以下のように書いてあります。 三波春夫といえば『お客様は神様です』というフレーズがすぐに思い浮かぶ方が少なくないようです。印象強くご記憶頂いていることを有り難く存じます。 ですが、このフレーズについては、三波本人の真意とは違う意味に捉えられたり使われたりしていることが多くございますので、ここにちょっとお伝えさせて頂きます。 三波春夫にとっての「お客様」とは、聴衆・オーディエンスのことです。客席にいらっしゃるお客様とステージに立つ演者、という形の中から生まれたフレーズなのです。三波が言う「お客様」は、商店や飲食店などのお客様のことではないのですし、また、営業先のクライアントのことでもありません。 しかし、このフレーズが真意と離れて使われる時には、例えば買い物客が「お金を払う客なんだからもっと丁寧にしなさいよ。お客様は神様でしょ?」と、いう風になるようです。そして、店員さんは「お客様は神様です、って言うからって、お客は何をしたって良いっていうんですか?」という具合。俗に言う“クレーマー”には恰好の言いわけ、言い分になってしまっているようです。 このフレーズへの誤解は三波春夫の生前から有り、本来の意味するところについてを、本人がインタビュー取材の折などに尋ねられることも多くあり、その折は次のように話しておりました。 『歌う時に私は、あたかも神前で祈るときのように、雑念を払って澄み切った心にならなければ完璧な藝をお見せすることはできないと思っております。ですから、お客様を神様とみて、歌を唄うのです。また、演者にとってお客様を歓ばせるということは絶対条件です。だからお客様は絶対者、神様なのです』 三波春夫オフィシャルサイト 「お客様は神様です」について http://www.minamiharuo.jp/profile/index2.html 対等の関係  三波さんは、神に奉仕するような澄み切った心でと言っていますが、「客席にいらっしゃるお客様とステージに立つ演者」というのは、お金を払ってきてくれたお客様に対して歓んでいただけるようなサービス(三波さんにとっては歌うこと)を提供するというものです。サービスを提供する側は、お金を出してくれた方へ対価に見合うだけの価値を見いださせるということですね。 そこには、対等の関係しかありません。サービスを提供する側は、お客様の奴隷ではないのです。 お客様にはどう接するべきか? ・ホスピタリティ(おもてなし) 近年、小売・サービス業の世界では、ホスピタリティという言葉が用いられるようになりました。サービスは格下の者が格上の者に対して行う義務としての奉仕、これに対して、ホスピタリティは対等の立場で行う心からのおもてなし、というものです。 この言葉、特にホテル業界で多く使われており、リッツ・カールトンホテルなどはその代表格です。「おもてなし」に必須の「相手の気持ちに立って考える」「自分のものさしを捨てること」が必要と説くコンシェルジェ、ただ、夜食にしか出ない「きつねうどんを朝食べたい」というお客様に対して、このお客様は「私にお金を使わせてください」とメッセージを送っているのだと考える境地に至るのは、一般人にはなかなか難しいかもしれませんね。 ・商品・サービスは金銭の対価に見合ったもの しかし、あくまでもお客様と商品・サービスを提供する側とは、対等の関係だということは間違いありません。ですから、百貨店で多くの商品を購入するお客様には、外商があるのもその好例でしょう。たくさん買っていただくからこそ、存在するサービスです。サービスは無料ではありません。すべての商品・サービスには、損益分析に基づいた適正価格があるのです。 ・長期的な視点を持つ 顧客第一主義を取り違えると、例えば100均ショップで、客の求めに応じて無料(といってもそこには袋やリボンなどの原価と人件費はかかっているので、むしろマイナス)でラッピングサービスをするようなことになります。一人のお客様にそれを行うと、他のお客様の求めにも応じざるを得ません。それは瞬く間にサービスとして定着せざるを得なくなり、結局自社の経営を圧迫し、お店を閉めるという結果に繋がり、そのお店を利用していたお客様に不利益を生じさせることになってしまうかもしれないのです。 何をもって対等と考えるかは難しいですが、サービスの質が価格によって変わるのは、ある意味当たり前ともいえるのではないでしょうか。それが、企業にとって必要な利益を確保し、常に同質のサービスを提供できることにつながるのですから。 顧客第一主義とは、お客様の無理難題を聞くことではない お客様の要望を満たすことは、サービスを提供する側として大切なことですが、理不尽なクレームや要求に対しては、企業側は毅然とした対応をとることが望まれます。それが、結果的に大多数のお客様を大切にすることに、また、社員を守ることにも繋がります。