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~内部統制・リスク管理

中小企業やベンチャー企業が着目すべきリスクとは

中小企業やベンチャー企業が着目すべきリスクとは

投稿日:2017年6月3日 更新日:

リスク管理に関わる最近の話題

近年、企業として収益のみを得るのではなく、企業が存在する社会に対して十分な社会的責任 Corporate Social Responsibility (略してCSR)や 説明責任 accountability を果たさなくては存在すら危ぶまれることになるという危機感を背景として、リスク管理の重要性が増しています。

最近では、東芝の巨額損失問題が記憶に新しいところです。東芝では、不正会計問題で旧経営陣が一斉退陣しました。しかし、新たにスタートした新経営陣により、またしてもずさんな危機管理が露呈しました。東芝の米国原子力子会社のウエスチングハウスが、建設会社のCB&Iストーン&ウェブスターを2015年12月31日に買収したことに始まり、ウエスチングハウスが、ストーン&ウェブスターの締結した原発建設のオプション契約による7000億円もの巨額損失のリスクを認識したのは、2016年10月。

ところが、これを東芝の本社経営陣が知ったのは、なんと2ヶ月後の12月、そして2回にわたる延長の後4月11日には監査法人の監査意見「不表明」のまま提出に踏み切り、2016年第三四半期の決算を発表しました。

また、直木賞受賞作品で、ドラマ化され大ヒットした『下町ロケット』では、特許権侵害の係争が盛り込まれていましたね。主人公が経営する佃製作所は、大企業であるナカシマ工業に、特許権侵害を理由とした販売差し止めと90億円の損害賠償を求められるという危機に陥ります。また資金繰りが苦しくなる中で並行して、帝国重工との特許権交渉を進めていくという、大変困難な状況に陥る樣が描かれていました。

法務リスクとは?

上記のような、法令等や各種取引上の契約等において、遵守違反や契約違反、その他それに伴う罰則適用や損害賠償などの損失により被るリスクを、法務リスクといいます。コンプライアンス(法令遵守)という言葉で代表されるように、世間的に法務規制に対する認識が高まりつつあることから、そのリスクは益々増大していると言えるでしょう。

そして、いったん法務リスクが顕在化して、先の佃製作所のような危機的状況になると、経営者は事業に専念できなくなってしまい、また資金繰りもショートしてしまうという事態が起こりうるわけです。

・「法務デューデリジェンス」

こうした法務リスクを軽減させるには、内部監査や外部第3者による定期的なチェック作業が必要です。そこで、法務デューデリジェンスの必要性が叫ばれているのです。

 デューデリジェンス(デューデリ、DD ,以下「法務DD」といいます)とは、企業が 買収等(M&A)を行う場合に、買収をする企業が、対象企業の実態を調査することをいいます。デューデリジェンス(デューデリ、DDとも呼ばれる)、では対象会社の法務、財務、税務、ビジネス、環境、人事、情報システムなどを調査するのですが、このうち法務に対する調査を法務DDといいます。

近年では、M&Aの売り手側が取引に先立って、事業や資産などの売却対象に潜在する問題点を洗い出すために自ら調査を行う例も増えていて、「Seller’s DD」とも呼ばれています。また、上場(IPO)を控えた会社にとっても必要不可欠なものです。

リスクをビジネスチャンスに変える

・コントロールリスクとテイクリスク

もうひとつ、中小やベンチャー企業で考えておきたいのが、リスクは必ずしもマイナス要因ではないということ。「ハイリスク・ハイリターン」という言葉に表されるように、リスクが大きければ大きいほど、得るものも大きい事象もあります。

こういうリスクをテイクリスクといいます。会社にとっては、益不利益にもなりうるリスクでありブランド戦略などのマーケティング活動上のリスクもこの中に分類されます。これに対して、コントロールリスクとは、コンプライアンスなど業務を遂行する上で適切に管理する必要のあるリスクです。

例としてこのケースを取り上げるのは適切ではないかもしれませんが、未払い残業代問題で法務リスクが顕在化した宅急便のヤマト運輸。

しかし、ドライバーの配送の過密スケジュールや取り扱い貨物量の増加、大口顧客であるAmazonの大型段ボール配送問題などを表面に出すことで、今回の値上げもやむなしという状況を作り上げました。

今世間では、宅配便ドライバーの負担を軽減するために消費者も便利さをすてるべきでは?このままでは日本の物流は崩壊するのでは?という雰囲気が醸成されつつあります。ヤマト運輸にとって、コンプライアンス面ではマイナスだった未払い残業代問題をあえて取り上げることで、スムーズに値上げに進むことを可能にしているように感じるのですが、いかがでしょうか?

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